9日目。

2002年8月25日
結婚式も終わって、まどろみから覚めると午前3時。目がさえるので、わけもなく福島の繁華街らしきところを歩く。20歳前後の人たちが群れて座っていたりする。基本的に、昼間の雑踏というものはお互いに無関心を決め込むものだと思うが、夜になるとその距離は随分と近くなり、夜の商売の人が声をかけてくる。申し訳ないがあなたたちに渡すことの出来るお金は持ち合わせていないのだと示すためは、歩くペースを変えないことだ。
それは昼間と同じような雑踏の中の無関心的空間を作り上げることが出来るためだ。

1時間ほどの短い観光は終了。

ホテルの前まで戻り、缶コーヒーを飲んでいると無性に活字が読みたくなった。普段旅行にでるときには何冊かの本は携帯しているのだが、今回持ち合わせているのは、辺見庸「もの食う人々」と、一度読んだ中嶋らも「ガダラの豚」である。

旅先では、精神的に活字を求める感覚が変化する。なぜだか無性に読みたくする瞬間が出来たりする。それは普段の生活とかけ離れた「非日常」と触れるためだろうか。それとも旅先での見知らぬ街角に孤独感を感じるためなのだろうか。
まあ、たぶんそんな作家みたいな高級な理由などではなく、日常生活で活字に触れている分、何かしらの行動で文字から離れるためなのだとは思うけれど。

ともかくも、部屋に戻ってから6時過ぎに眠りにつくまで「もの食う人々」を読んで、これもルポ作品であるため世界の各地に思いを馳せながら短い眠りについた。

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9時に目を覚ます。
友人と13時すぎの新幹線に乗り込んで、福島を後にする。

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家に到着したのが、午後4時。
今日も研究室に行かなくてはならない。というのも、金曜日の実験はかなり中途半端な状態で置いてきたためだ。それに細胞の継代もさぼったため気になるところ。(細胞は1枚のdishにぎちぎちに増えすぎると、お互いに刺激を与えてその性質を変化させてしまうためによくない。ぼくが現在使っている細胞はcos,HeLaというサルの腎臓の細胞とヒトの子宮癌細胞の2種である。このいずれも少しくらいは手荒に扱っても大丈夫である。)

研究室に到着。おみやげの地酒を低温室に置く。

金曜日の続きをこなし、細胞を見たところ継代するほどでもなかったので培地だけ交換する。ただ、今使っている細胞は少し古いので、-150℃で凍結させている細胞を融解させdishに撒く。


実験が終わって、2年先輩のD1のひとと、おみやげの地酒で乾杯する。昨日の結婚式の話題をしていたのだが、いつの間にか「アウトドア―インドア―引き篭もり」の関係は従属であり1次元で表すことができるという(でたらめの)仮説を(でたらめに)検証することになった。


・本を買う場合。
→本屋に買いに行き、公園とか外で読む場合はアウトドア派
→本屋に買いに行き、家に帰って読む場合はインドア派
→amazonで購入する場合は引き篭もり

無論、検証結果もでたらめである。


そのうちに午前0時を回ったので、終電で家へと帰った。長い一日がようやく終わった。

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明日の予定
・実験(construction 細胞)
・論文紹介用の論文を読む

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