Dharmaconの判定ソフトウエアの判定基準の基となっているのが、
Reynolds et al. Nat Biotechnol 22 3 326-330 (2004)
という論文なのだけど、この論文は結構おもしろい。

ある2つの遺伝子のそれぞれ約190bpに対して、90個ずつのsiRNAを設計し、個別のsiRNAの効き具合から効果的な設計方法を導き出そうというもの。結果として、8つの指標が導き出されこの指標を満たす度合いによって10点満点で評価したとき、6点以上の条件を満たす場合100%の割合で50%以上の発現抑制を起こし、92.9%の割合で80%以上の発現抑制、46.4%の割合で95%以上の発現抑制を起こすらしい。

で、実際に自分の使っている遺伝子についても、この評価方法を一生懸命あてはめて楽しんでみましたとさ。本当に効けばいいのだけどね。。。
RNAiというのは、ターゲットに特異的な2本鎖RNAを生成させることによってそのターゲットとなる遺伝子の発現を抑えてしまうという、とても便利な方法なので数年前から大流行の実験手法なのですけれども、ぼくが作ったRNAi用のコンストラクトではどうも効きが弱い(3〜5割くらい)ので、どうにもこうにも困ってその実験手法は放り出していたわけです。

ところが今日になって気が変わって、もう一度作り直そうかといろいろ調べているうちにぼくが作製した頃からはいろいろと効率よく発現を抑えるための配列検索というものが変化していることを知ったわけです。

かつては、
・目的の配列(21塩基)のうち、最初の2塩基はAAとかAGが好ましい
とか、
・スタートコドンの下流に、目的の配列を設計してはいけない
だとかそういう制約があったのだけど、そういうtipsは統計的にはあまり意味のないことらしいということ。

なので、新しく作り直すのはDharmaconで提供されている配列設計サイトを使うことにしました。このサイトはReynoldsらによって導き出された8つの指標に基づいて配列を設計してくれるらしいです。
この8つの指標というのが、また時間がたつにつれてデマだったということがなければよいのだけど。。。
今年に入って、実験をいくらやろうとも芳しい結果(自分が思っているような結果)が出ず、ずーっとつらい思いをしていたわけです。

つい最近、以前図書館に頼んで取り寄せていた自分の研究にもろかぶりの蛋白質のreviewを読み返していたら、ちょっと、いや、かなりやばいことをunpublished dataとして口走ってました。

それと並行してボスと話をしまして、いろいろと論点をまとめていきますとなんとかなるような気もしないでもなく。

ちょっと気合が入りました。
同僚のやっているテーマにもろかぶりの論文が出たらしい。

どういう仕事でもライバルというのは存在するわけだとは思うのだけど、こういう稼業では先に出されてしまうと今までの苦労は本当に意味がなくなってしまう。

本当にひとごとではない。

悪夢。

2004年7月9日 お仕事
今日、熱帯夜で寝苦しかったせいもあって、悪夢を立て続けに見た。

アガロースゲルによるDNAの電気泳動を仕掛けたのを忘れて、一日そのままほおっておいてしまい、帰る直前になって気づき絶句する。



今現在やっている実験で、細胞を増殖因子で刺激するというものがあり、実際に実験するときは刺激前に細胞に前処理を施すのだけど、その前処理を忘れて絶句する。

この2本立てでした。
また、例の実験に失敗した。

1回やってうまくいって、その後2回失敗。。。
ただ、失敗した原因も完全にはっきりしたので次の回はうまくいく予定。

次回の結果は7月7日(水)の予定。
前回、実験がうまくいってその再現をとるぞ!と勢いこんで臨んだわけなんですけれども、その、あの、見事に失敗ですよ。。。
まあ、"結果"的に失敗したのではなく、"手順・過程"的に失敗した模様なのでその点ではぼくの意気込みはまだ鈍ってはいませんよ。

次回の挑戦は7月1日(木)の予定。。。
一昨日のウエスタンの結果は、もし本当で再現が取れたらかなりのポイントアップですよ。

気になる点も2〜3点あったので早々に再現実験。結果がでるのは28日の予定。。。

ウエスタン。

2004年6月24日 お仕事
なんかポジティブな結果が出たよ!

頼む。この結果、本当であってください!!
ぼくは生物系のD1なんですが、へたれなのでwindows使ってます。生物系でwindowsを使うなんてある意味どうかしてるわけなんですが、そんなへたれ学生のためにアメリカのTomさんがBioEditというSequence Alignment Editorをフリーで公開してくれているわけなんですけれども、このBioEditはwindows XPではclustalWが動かないなどの不具合があったりして、いまいちうちの研究室でのうけはよくなかったりしたのです。

ところが最近、作者のTomさんがやる気出してくれたらしく、新しくupdateされてましたよという話。とりあえず、前述の不具合も解消していたので、ぼくの研究室でwindowsを使っていてsequenceをいろいろいじりたかったり、共通eMacが使えなかったり、ABIの波が急に読みたくなったりした場合は使っても良いのではないでしょうかと提案してみる。(小声で)

http://www.mbio.ncsu.edu/BioEdit/bioedit.html
今日は実験報告です。今回も前回の実験報告と同様に気が重いわけです。

データが、、、。

ずーっと実験の話を書いていなかったけど、実験してなかったわけではないんです。現実から目をそむけていただけ。

さー。今日はお泊りでレジュメ完成させるぞ。。。
うちのラボのオートクレーブはプラスチック関連のものをストックする部屋にあるのだが、今日、その部屋に入ってオートクレーブを見ると、なにやら様子が違う。

何だろうとしばし眺めていると、ようやく気づく。オートクレーブの蓋を閉める直径30cmくらいのねじが折れていたのである。折れていたのは片側だけだったので蓋自体を閉めることは出来たのでよかったけど。


gelろ過用のカラムは30万。どーなんだろう。
うまくいったと思い込んでいたウエスタンの結果があったのだけど、視点を変えて、というか、別のコントロールを加えてもう一度やってみると、かなりだめな結果。。。

再現とって同じ結果だったらかなりどうしような感じ。

RNAiをやってみているのだけど、こちらのほうは半分くらいにしか減らないし。

さらに、2つQuikchangeをかけてみたのだけどかからず。まあ、これはプラスミドの全長が2つとも7.4kbpとちょと長すぎたためか。
というわけで、解決方法として、

1.別の短いベクターにサブクローニングしてQuikchange
2.ワンカットで抜いてligation→Quikchange

が考えられたのだけど、とりあえず2番を選択。
片方はSacIできれいに抜けたけど、もう片方はBclIで、ちゃんと50℃でやったのにもかかわらず切れず。。。

とりあえず、このまえのウエスタン。嘘だと言ってください。
そういうわけで、発表終了。

かなりカミカミでわかりにくいであろうプレゼンになってしまったのだけど、審査員の先生方に聞かれた質問はまあ想定範囲内のものだったので、総合的にはこんなものかなーといったかんじです。

で、少し思ったのは以前知さんの日記に書かれていたことで、「学会で発表しても誰も手伝いにも応援にも来てくれない」といったかんじの文脈(多分。もし書かれていなかった申し訳ありません)。
うちの研究室においてはこの修士論文発表会に、遅れてくる人、途中で(家に)帰る人、そもそもいない人、、、そんな感じでしたよ。
就活とかどうしても致し方ない理由の人もいるだろうけど、なんというか、研究室のメンバーとしてのモラル、低くないですか?
というわけで、くしくもぼくが前回書いたように、大きな子供の学芸会以上の価値は存在しなかったようです。
今日は修士論文発表会ですよ。

昨日の時点ではかなり原稿を憶えると言う点でもうどうしようもない
感じだったのですが、一部つっかえつっかえになってしまうものの
プレゼンできるようになりました。
まあ、結果の量がしょぼいこと、予定調和で終わるのかなあと思うと、
おおきな子供の学芸会みたいになってしまうのではないかと危惧して
います。

ま、いまさらそんなこと言ってもしょうがないのだけど。

リスク

2004年2月13日 お仕事
例えば、スポーツを見ていたりすると、「リスク」という単語を
耳にすることがある。

野球だと、1アウトランナー1塁の場面でヒットエンドランだとか、
サッカーだと、DFのラインを上げて積極的に攻撃参加するだとか、
自転車ロードレースだと、序盤で大逃げをうってみるとか。
もちろん、リスクを負うということは、成功して得られる利益を
上回るような損失の可能性が陰に潜んでいるわけだけれども。。。

で、今日は、ぼくもリスクを負うのです。明日発表用スライドを事務に提出なのだけど、まだ、一部出来ていないので今日は徹夜。

少々テンパってまいりました。。。

追い込み。

2004年2月11日 お仕事
そろそろ追い込みの時期に入ってきているわけですが、
ぼくは今日も実験をしております。。。

最悪、明日までにPowerPointの直しを完成させないと。。。

修論提出は。

2004年2月10日 お仕事
修論は昨日審査の先生に提出したことでいちおう区切りがつきました。

現在は発表用スライドの作成中。

(でも、この前修論完成した勢いに任せて発注したツールドフランスDVDが手元に届いていてもたってもいられなかったりするわけですが。)
先日、あるコンストラクトを作りたくなりPrimerを発注したのです。
で、発注後、ノートにコンストラクトをつくるスケジュールなどを書いているうちに気づいたのです。

「あ。発注したprimer。1アミノ酸ずれてる。」と。

かなりあせって夜23時半なのにも関わらず、発注先であるPR○LIG○に電話。するとこんな時間なのにも関わらずサポートサービスは稼動しており、キャンセルは受け付けてもらえたのでした。

ほんとうにPR○LIG○すごいです。みなさんPR○LIG○お勧めです。
修論最終稿に"なるはず"バージョンをボスに再提出。審査の先生に修論を持っていくリミットが9日(月)なので、今日くらいに完成させたいところ。

とはいえ、ボスもM2×4人の修論を一手に引き受けているわけで、最終稿の完成は明日になるでしょう。

さー。完成したということにして、謝辞書こうかな。。。

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