55日目。

2002年10月10日
今日の予定

・実験(western blotting)

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昨日は、終電だったのであります。

終電はいけないと心に誓っているのだが、今月に入って(確か)2回目。終電だと、家に辿り着くのが1時過ぎ。体がどれほど疲れていようとも、眠りにつくのは早くて3時前。起きるのは、結局9時という意味のない生活リズムになってしまうためだ。

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研究室に長くいると、ナチュラルハイの状態に陥るときがある。大概、このときの実験はうまくいかない。そして、みんなにからみ始める。

家に帰って、深く鬱状態。いただけない。

54日目。

2002年10月9日
今日の予定

・実験(PCR→Mag→制限酵素による切断→Mag→Ligation→Transformation 免疫沈降)
・セミナー(実験報告 M1×2)

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昨日は、ゆっくりとしたペースで実験を始めた。westernの続きを確認した。いままでA⇔B⇔Cの3種類の蛋白質が同時に結合しうるかを確認するのに、AとCをco-transfectionで共発現させ、Bに大腸菌で大量精製したGST融合蛋白を用いて行っていたのだが、今回はAはendogeniousな、つまり培養細胞がもともと有しているAを用い、CとBは今までと同じ条件にして、結合実験を行ったわけである。結果は、結合を確認することができた。つまりendoのAの量で十分結合を検出できることが分かったのである。次回の結合実験ではendo A⇔transient B⇔transient Cを検証してみる予定。この状態で結合を言うことができれば、ほぼこの結合に関しては問題ないと言えるだろう。

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先日(7日)、コンストラクトの間違いを発見して憂鬱になったのだが(学会までに細胞内局在を確認できないため)、少なくとも正しいコンストラクトを完成させるということに方針転換することに決めた。そうすれば、学会から帰ってきてぎりぎりで細胞内局在の免疫染色のfigureを自分の実験報告で発表することができるためだ。いまのところのデータだと実験のfigureが3つもしくは4つ。モデル図的なfigureが1つもしくは2つと物足りないものとなってしまうためだ。

普段、実験報告前に焦って実験している人を見かけるにつれ、
「実験報告前に焦って実験やってもろくなデータでないよ。」
と言っている張本人が恐ろしい勢いで実験をしなくてはならなくなりそうです。(きっといい結果はでないと思われる。)

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ある蛋白質と別の蛋白質の結合を見ることは割に簡単。
また、ある蛋白質の細胞内局在を確かめることも同じくらい簡単なこと。

ただ、そこから示される細胞のphenotype(表現形)や、取り巻く分子との関係から、その蛋白質の「機能」をずばり示すことは非常に困難です。ぼくが研究しているエンドサイトーシス関連のことでも、ある状況でエンドサイトーシスを変化させたからといって、その原因がどの機能がもとになって、どういう作用を引き起こしたものなのかを明らかするには機構が複雑すぎるしブラックボックスがたくさんありすぎるわけである。

今、自分の行っている実験を客観的に評価すると、A⇔B⇔Cの結合の関係とエンドサイトーシスにおけるその関係に基づいたphenotypeをいくつか示すことで、J Biol Chemという、ファミレスのような品揃え豊富だけど結構チープですよ的Journalの当落線上でしょう。このデータにこの複合体の機能を明らかにすることを付加すれば、もう2つくらい上のランクのJournal、例えばEMBO, J Cell Biol, Nat Cell Biolといったところにも手を伸ばすことは可能かもしれない。
では、最高級ランクのNature, Cell, Scienceはどうすれば狙えるのか?それはきっと、とてつもないアイデアを物にするか、実験量が半端ではなくぐうの音も出ないようなデータだとか、今まで思いも寄らなかった新しい機構を証明するとかそういうことが必要なのだろう。

そんなことを帰り道にM1の人に話していたら、
「うちの研究室では、そんな"機能を明らかにする系"はないんだよね。」
と諭された。
彼女は今まさに論文を出そうとしているところで、既にNat Cell BiolとJ Cell Biolに蹴られており、1ランク下のDev CellもしくはMol Biol Cell になんとか出そうとしている当人の言葉はずしっと響いた。

53日目。

2002年10月8日
今日の予定

・実験(western blottingの続き PCRとか)
・きっと実験が少なくて暇になるので論文を読んでみる
・セミナー(実験報告 M1・2人)→9日の間違い

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昨日は、この日記始まって以来の衝撃を受けた。

どうやら、リアル知り合い(というか研究室の4年生2人)にこの日記を知られてしまったらしい。まあ、HNが知られてしまっている時点で、googleに捕捉されたのをいつの日か暴かれてしまう日がくるとは思っていたが。

まあ、それはいい。だが、研究室で使っているノートPCのお気に入りに入れないでほしい。かつ、それについてお説教しているときに、ぐずぐずとこぼした言葉の中に「検索すればわかることじゃないですか」みたいなことをいわないでほしい。横でハイエナのよう(M1)に聞いている人がいるのに。それって小さい子に何か隠し事してるでしょって聞いたら、

「隠し事なんてしてないよ。お菓子なんて食べてないよ!」

ってネタ晴らししてしまうくらい間抜けではないですか?


ともかく、リアル知り合いが見ていることが分かったので日記テンションかなりダウン。
こういう自由に書くことのできない環境にしたのはあなたたちです。(→4年生2人。特にUくん。)

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昨日は、朝からダウナーなテンションだった。
というのも、今作っているコンストラクトに設計ミスがあることがわかったからだ。

本来、発現ベクターに目的の遺伝子を組み込む際、気をつけなければならないのはコドンの読み枠が間違っていないか、cozak配列というきちんと遺伝子を発現させるためのinitiation motifを入れているか、ストップコドンを入れて正しい長さの遺伝子産物を作ることができるか。まあいくつか決まり事があるのだが、慣れてきたらそのチェックは難しいことではない。

普段なら別の発現ベクターに組み込まれた遺伝子をPCRで増やして、頭に特異的なエピトープをつけることができるように設計するのであるが、今回は遺伝子を制限酵素で切り出してそのまま目的の発現ベクターに乗せかえることができることが分かっていたのでやってみた次第である。で、何が間違ったか。それは、その遺伝子にはストップコドンが組み込まれていたため、今回のような後ろの末端にエピトープをつける場合、遺伝子のストップコドンによってエピトープが発現できなくなってしまい、エピトープとしての役割を果たさなくなってしまうためである。


学会までにそのコンストラクトをつかって、細胞内局在が確認できないことが確定したので、飼っている培養細胞を全部殺してしまった次第。

52日目。

2002年10月7日
今日の予定

・実験(western blotting sequencing QIAGEN midiprep)

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昨日は、9時に到着する予定が、11時に到着でした。

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それから、ずーっと実験をしていたわけだが、20時ごろに夕ご飯を食べに行こうということになった。というのも先週の日曜日、4人(D1,M1×3)で、あるM1の車に乗って、ラーメンを食べに行ったのだが、そのことがうらやましくてたまらない別のM1がいたからである。それほどまでに研究室で実験を行っているとき、外に食べに行くことは珍しいのである。普段の月〜金曜日は、昼に頼むお弁当(3社ある)を2食分注文しているし、土・日曜日は駅を降りたところにあるampmでやはり2食分購入するためである。

今回のメンバーはM1×4。向かった先はサイゼリア。ぼくはいまいちいろいろなファミレスの違いについて知らないのであるが、その道中で発見されたガストは、とにかくチープな感じらしい。(サイゼリアはどういう特徴なのかは語られなかった。)
サイゼリアでは、狂ったように食べた。結果ぼくが払う料金は1800円であった。リゾット・若鶏の腿肉・オムレツ・モンブランと4品も頼んだのだから。普段、貧しい食事しかしていないぼくを含めたM14人にとって、ファミレスのメニューすら神々しく見えるのは、きっと病んだ生活をしているからに違いないという結論に達したのは言うまでもなかった。

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ぼくが普段利用しているコンビニは、家の近くにあるローソンなのだが、ぼくは、いつも決まった順路で店の中を巡る。

雑誌コーナー→ペットボトル→パック飲料・ヨーグルト・プリンなど→おにぎり・お弁当など→インスタントラーメン→お菓子→レジ

買う・買わないは別としてその順番で5分くらいですべてをまわる。

先日、インスタントラーメンコーナーに置いてあるインスタント味噌汁に恐ろしいものを発見した。
 「漢汁」(←おとこじると読む)
と名づけられたその製品。

どうすればよいのか分からなかった。ぼくは途方に暮れた。

51日目。

2002年10月6日
今日の予定

・実験(miniprep QIAGEN midiprep transfection)
・(今日こそ)9時に研究室に行く

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昨日は、研究室で徹夜実験を行い、始発で6時ごろに家に帰ったので、午前中どころか15時ごろまで寝ていたのであまり書くことはありません。

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19時半ごろ、研究室に向かうために電車に乗っていたのであるが、ある駅に到着してドアが開いたきり閉まらない。何事か起きたようで、ある車両に人だかりができている。

どうやら、車両とホームとの間に子供が落ちたらしい。駅の雑音、話し声や足音をつんざくような泣き声が響いた。

5分後、無事に電車は発進した。

50日目。

2002年10月5日
今日の予定

・午前中は寝る。
・大腸菌を撒いたプレートを回収に行き、植菌をする。
・免疫沈降

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この日記始まって以来、初の徹夜実験。というわけで、今日は学校でこの日記を書いてます。

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昨日は、図書館に外注しておいた論文がとどいたそうでとりに行く道すがら、かすかな鳴き声。

猫である。1メートルほど離れたところにかわいらしい猫。にゃあと甘えた声で鳴きながら毛づくろい。

気になったのでちっちっちっと呼んでみる。すると近づいてくる。足元。そのまま、ぼくの足に擦寄りながら八の字に歩く。


腰がとろけそうになったのでした。。。

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昨日は、実験をとくに入れてなかったので、今後の予定を立ててみた。

4日 
↓(中8日)
13日 移動日
14日 生化学会初日(京都)
↓   
17日 生化学会最終日・移動日
18日
↓(中4日)
23日 実験報告(自分)

こんなかんじ。スケジュール的に、学会が終わってから実験報告まではろくに実験が出来ないはずなので、実質的にはあと8日分しかできないと考えてよい。
とりあえず、いま扱っている蛋白質の、ある条件下での細胞内局在を確認したいと考えているので、しなくてはいけないことを逆算してみた。その結果、今日は泊まりで目的の蛋白質の遺伝子を細胞で発現することのできるためのプラスミドベクターに組み込むまざるをえないのでした。

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すこしふらふらとした、徹夜特有の頭で1時間の待ち時間を過ごしていると、あるM1の言った言葉を思い出した。

「規則正しい時間に従い、終電のフォースを守るのがジェダイの研究者。終電を逃した先は、フォースの暗黒面なのだ。」

49日目。

2002年10月4日
今日の予定

・実験(vectorの改変 transformation)
・実験方針を考える。

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寝坊。昨日は、9時から燃えるゴミ捨てであり、かつ借りていた抗体を返さなければならなかったのだが、寝坊。しかし、風邪気味だったことを理由に何も咎められることはなかった。
そのことに、ぼくは激しく赤面せざるを得なかった。(風邪なのは理由にならない。)

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western blottingを行っている。最近行っているのは、AとBとCという3種の蛋白質が存在し、AとBの結合と、BとCの結合ができることがわかっているときに、AとCは同時にBに結合することが出来得るのかということである。
これを検証するために、同時にAとBとCを入れたサンプルを用意し、Aを認識する抗体で免疫沈降し、その落ちてきた蛋白質に対し、Cを認識する抗体で存在を検出するということを考えた。

結果はうまいこと検出できたのであるが、なんだかなー本当かなーという気分が抜けない。Bに大腸菌で大量精製したGST融合蛋白質を用いているため。やっぱり、3種類同時に培養細胞で発現させて共免疫沈降してみないと、アーティファクトな結合だと言われかねない。

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昨日は、成田に中国人の留学生を迎えに行く日である。そういうわけで、ボードを用意することにした。A3の画用紙を2枚用意し、1枚にはこちらの所属を、もう1枚には相手の名前を書くのである。
ところで先日、その留学生が阿藤快に似ていると思ったので、研究室のひとにどう思うか聞いてみたところ、確かに似ているとの評を得たので、Googleのイメージ検索で「阿藤海」(阿藤快の改名前の芸名)と入力し、そこからひとつ画像を拝借して、名前を書いたボードに貼り付けることにした。

17時。成田へ向けて出発。M2のひとと一緒である。水天宮前に18時ごろ到着し、リムジンバスの時間を確かめてから、マクドナルドで軽い食事。19時のバスに乗り込む。ぼくは成田空港へ行くのは初めてだったのであるが、成田へのバスが3000円もかかるのには閉口した。高速道路を通るから高いのか?

成田へ到着し、留学生を待つ。ボードを掲げる。周りの人たちもボードを持っているが、さすがに似顔絵入りのボードを持っている人はいないようだ。
20時45分くらいに、留学生現る。思ったほど、阿藤快ほど重厚ではなかった。
その後、留学生会館まで送り届け、家に辿り着いたのは0時過ぎ。いつもと同じ時間とはいえ、神奈川→東京→千葉→東京→神奈川と移動するのは疲れが出た。

48日目。

2002年10月3日
今日の予定

・成田に留学生を迎えに行く
・実験(western blotting)

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昨日は、風邪気味のため、日記を書くことが出来ませんでした。後述します。

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2日、学内便で書類が送られてきた。ぼくは、書類上の所属研究室と実質的な所属研究室が異なるために、必要な書類は学内便で送られてくるのである。今回も、同様だと思い、封筒を開ける。

・・・中身ないんですけど?

で、昨日(3日)、肝心の中身が送られてきた。成績表。前期の成績表である。単位数を確かめると、26単位を獲得しているようだ。どうやら、前期で25単位獲得していると、これから自動的に獲得できる単位数を足していくと、卒業単位に達するらしいので、これで授業をとる必要はなくなったらしい。しかし、大学院は単位をとるのが、学部時代に比べて非常に楽だった。全ての授業が出席もしくはレポートで成り立っているのだから。

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また風邪をひいてしまったらしい。21時ごろになって、頭痛と軽い吐き気がしたので早退した。

47日目。

2002年10月2日
今日の予定

・実験(western blotting 細胞継代 transfection PCR)

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昨日も、一昨日にひきつづきやる気がなし。12時までとろとろ寝て、起きて、準備して出発。

研究室に向かう前にCD購入。中村一義「100s」。「金字塔」と同じくらい好きかもしれない。

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今、「好きかもしれない」とタイプしようとすると、「隙かもしれない」と変換された。ちなみに次候補は「鋤かもしれない」。すごくやだ。

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台風がやってきたらしい。世間ではそういうことらしい。17時ごろ放送が流れた。
「台風が来ているので、できるだけ早く帰ってください。」と。

しかし、実験は終わらない。終わって帰られるようになったとき、まだひどい風雨だったならば、しからば、泊まってさらに実験をしようではないか。
というこころづもりはあまりないのだけど、宣言してしまう。

23時。顕微鏡をのぞいて、免疫沈降をしかけて、(本来ならtransfectionをするとことだったのだけど、忘れた。)実験終了。同じくM1のひとも実験が終わったらしい。一緒に帰る準備。外を覗く。雨は止んでいた。

大体、台風をやり過ごすなら、学校にいるほうが絶対に安全なんだと、ぼくは確信した。

46日目。

2002年10月1日
今日の予定

・実験(免疫染色 lysate回収→免疫沈降→電気泳動→transfer→blocking transfection)

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昨日は、やるきのない一日。午前中はとにかくやる気がせず、遺伝子を組み込んで発現させるためのplasmid vectorの改変のためのアダプターを設計したのみ。

15時からセミナーがあり、D3とD1のふたりがそれぞれ論文紹介を行った。そのうちのD3に紹介されたのは、目の覚めるようなノックアウト・トランスジェニックマウスを使った実験。ひさびさに論文で感銘を受ける。

20時を回って、培養室で細胞を継代し始めてから、そろそろエンジンがかかり始める。培養室でかけていた音楽は空気公団だったが。

22時を過ぎて、免疫染色の準備を開始。とりあえずepitopeの固定化と細胞膜の可溶化を行って、blocking。続きは今日へ。

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10月3日に、留学生の中国人のひとがやってくる。そのひとの成田へのお迎えにぼくが行くことになってしまった。それはいい。それはいいのだが、そのひとの顔写真を見せられて思った。

「阿藤快に似ている。」と。

初対面のとき、何といえばよいのだろう。

「阿藤快というJapanese movie star(eminent actor?)に似てますね!」

しかし、その作戦には致命的な欠陥が存在する。
ぼくは、阿藤快の代表作品を、「ぶらり途中下車の旅」以外、なにひとつとして知らないことだ。

この日本の財産のことを、ぼくは自分の胸だけにしまっておこうと思う。

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延べ1000人以上の方に感謝。

45日目。

2002年9月30日
今日の予定

・実験(細胞継代 lysate回収 免疫染色)
・セミナー(論文紹介)

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昨日も、研究室には16時到着。結果は少しばかり驚くものだったのだけど、予備実験として行っていたものなので、まったくコントロールをとっていなかったため、データにはならないのでした。しかし、今年5〜7月の不調が嘘のようにいい結果がとれるのは何故だろう。

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この日記システムは、IDナンバーが日記を登録した順番だということに今になって気がついたので、自分の前後の番号を適当に入れてみて傾向を探ってみた。
意外と2〜3日で終わっている人が多い。むしろ毎日書いているぼくのような人は皆無と言ってもよい。毎日同じようなことをしているのに、書きつづけることができるのはそれだけ余裕を持って生活ができているということなのだろう。

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10月14日〜17日まで生化学学会があるのだが、その間、学会に行かない人たちは伊豆の修善寺に"裏"旅行に出かけるそうである。
「本来なら学会で発表することが楽しいとは言わないまでも目的にしなければならないことなのではなかろうか?学会で発表できないのであれば、スタッフがいない間に結果を出すくらいの意気込みが必要なのではなかろうか?」
このような会話を培養室で細胞を継代しながらD3のひとと話した。無論、正論である。実際、学会へ行く必要のある(発表はしないのであるが)ぼくはその意見に賛成である。

ただ、もし、学会に行く用事がなくて、なおかつその旅行の誘いを受けたとき、その誘いをぼくは断ることができるのだろうか?

自分自身のモラルはどれほどのものなのだろうか。

44日目。

2002年9月29日
今日の予定

・実験(western blottingの続き sequencingの続き)

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昨日は、研究室への到着が17時。それもそのはず、久々に朝の5時までチャットをしてしまったため。
まあ、研究室に行くのが朝の10時であろうと、17時であろうと、帰るのは23時過ぎなのは変わらない。違うのは、実験の進展状況のみ。

western blottingは、蛋白質を分子量に比例させて分離されるように電気泳動したゲルからメンブレンにうつしとり、目的の蛋白質特異的に結合する抗体を用いて、その存在を確認するものである。で、この実験は、
泳動(1時間半)→メンブレンへのトランスファー(1時間〜3時間)→ブロッキング(1時間〜)→1次抗体反応(1時間〜)→メンブレンの洗浄(20分)→2次抗体反応(1時間)→メンブレンの洗浄(20分)→現像
とこのような順序をたどって行う。この実験は、ブロッキングと1次抗体のところで実験を止められる。つまり、朝早く行った場合は全てを行える。午後から始めた場合は途中まで。

これが、結局帰りが夜遅くなるからくり。(朝早く来て途中で止めるのはなんとなく反則。)

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研究室へ行く前に、新しいマグカップを探しにでた。2時間くらいぶらぶらいろんなところを田園都市線沿線で探したのだが、気に入るのが見つからない。
今度、自由が丘にでも行ってみようかと思う。

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ペンギンズランチ。昨日買った分で全部集まりました。ジェンツーペンギンの雛は、思った通り可愛らしかったのです。16個買っただけで10種類集まったのはなかなかよい精度かなと思ったのです。

もちろん、さすがに16匹のペンギンたちのおかげで、デスクはペンギンコロニー状態なのです。

43日目。

2002年9月28日
今日の予定

・実験(western blotting sequencing primer発注)

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昨日は、ACアダプターを家に忘れたのにも関らず、ノートPCを持っていったので、重たいだけ損でした。まあ、昨日は久々の終電だったので、ある意味ACアダプターを忘れて正解だったかもしれない。。。

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ペンギンズランチを毎日一つずつ買いつづけています。
昨日、やっと9種類目が当たりました。(全10種類)ただ、最後までジェンツーペンギンの雛が当たらないのは、陰謀ではないかと思う今日この頃。

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先日(25日)、研究室で使っているマグカップが割れてしまった。高校時代に買ったナリタブライアンのマグカップ。あまり趣味がいいとは言い難いが、思い出の一品。

高校時代のヒーロー。

ぼくが、現役のナリタブライアンを生の競馬場で見たのは、4歳・5歳の阪神大賞典。4歳のときは、前年の3冠馬の勢いそのままに7馬身差の圧勝。5歳のときは、前年度の菊花賞・有馬記念馬のマヤノトップガンを押さえ込む奇跡の復活。

しかしてマグカップは、ぼくの手から離れて砕け散った後、そんな感傷を思い出させた。

42日目。

2002年9月27日
今日の予定

・実験(miniprep lysate回収→1.SDS-PAGE→transfer→blocking 2.immunoprecipitation)
・朝9時に研究室に行きたい

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昨日、髪を切りに行ったのだが、そこでのひとコマ。

「今日はどんなかんじで? 重めで?軽めで?」
「えーと・・・。多めで。」

素で間違えた。

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昨日は、実験をしなかったのだが、夕方研究室へ行って、いろいろと明日の実験の準備や、LBプレート(transformationした大腸菌を撒くためのプレート)をつくったり、論文をdownloadしたりしているなかで、自分が行っている蛋白質を取り巻くモデル図を考えた。なかなか頭が回転していいアイデアが浮かんできたので、調子はいいと思った。
けれど、こんなことも思い出した。佐藤賢一「王妃の離婚」の一節。

眠ろうと努力するだけ無駄だった。心得るフランソワは、試みにも横になろうとはしなかった。疲れてはいるが、集中力は高まっている。乗りに乗っているといってもよい。神がかり的な発想さえぽんぽん飛び出す予感がある。が、そのまま放置してはいけなかった。絶好調という自覚に反して、実は理想の状態には程遠いということを、フランソワは経験から知っていた。

フランソワというのは、小説の主人公で往年の天才学生なのである。この一節の教訓としてぼくが思うのは、自分が好調と感じるときほど、慎重に考えを推し進めなければならないということである。
その考えに本当に穴はないのか?別の考え方はないのか?さらにその考えを発展させるブレイクスルーは見つからないか?
そのためにとる一つの方法は、積極的にディスカッションを行うことである。ボスの助教授でもいいし、同じ蛋白質を扱っているグループのひとでもいい。

ただ、そこで起きる新たな問題。
それは、往々にして自分の知識不足により、議論がストップしてしまうことである。

生まれる気まずい間合い。それを省みないので、まわりのひとにいつも迷惑をかけっぱなしなのである。

41日目。

2002年9月26日
今日の予定

・髪を切る。
・夕方に研究室に行く。
・明日の実験の準備をする。

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昨日は、飲み会があったため、ノートPCを研究室に置いて帰ったので、今日の更新は18時半となります。
さらにいえば、数日前に「2〜3週間は休みなしでやりたい」とえらそうなことを言ったにも関わらず、実験計画の都合が合わず、夕方出勤。

さっき、昨日、transformationした大腸菌をまいたプレートを回収しに行ったところ、incubateの時間が22時間と長すぎたため(普通は16時間くらい)か、無駄にサテライトと呼ばれるいらない大腸菌が生えてきていました。やはり普段と違うペースの生活はよくないということなのでしょう。きっと。

40日目。

2002年9月25日
今日の予定

・実験(QIAGEN midiprep Transfection→COS cell Ligation→Transformation primer発注)
・セミナー(実験報告・M1 2人)
・院試お疲れ様会(土間土間@青葉台)

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普段の生活において、愚痴を言うことはストレスの解消という効果を狙ってのものであろう。
昨日(24日)23時55分。電車を待つホームで、ぼくと、同じくこの前の学会に行ったM1は愚痴を言い合った。

「まだ2日目なのに10時〜24時はやばいよね。。。」

うちの研究室は時間にルーズでもお咎めなしなので、別に何時に来ようが、何時に帰ろうが個人の自由。その愚痴は、単に自分たちの不器用さに対する言い訳に過ぎないのである。

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研究室のD1の先輩と話をしていたときに教えてもらったこと。オタクの定義とは、「ある物事Aに対するリファレンスを多く示すことができ、なおかつそのリファレンスはAに対する近傍のものに限るひとのこと」であるそう。

このような生活をしていると、以前過ごしていたような時間配分をすることはできなくなる。例えば、2年程前に狂ったようにやっていたネットゲームでウルティマオンラインというものがあるのだが、今ではログインすることすら叶わず月額料金を払いつづけているのみだ。ま情報を得ることすらできない(得ようともしない)ぼくはまさにオタクになることすらのできない存在なのである。

39日目。

2002年9月24日
今日の予定

・実験(GST融合蛋白精製 細胞継代 植菌)

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昨日は学会からの復帰初日。たかだか1週間ほど休んだだけというのに、頭はさっぱり働かない。何をやればいいのやらといった感じ。
とりあえず、書き残しておいた「帰ってきたらこれやりなさいリスト」を見ながら、すこしずつ頭をほぐしてゆく。

結局、実験自体は22時過ぎに終了。そのまま、研究室で発泡酒を飲む。結局、家に帰ったのは24時すぎ。とりあえずは、休みなしで2〜3週間ほどは働きたいものだが、がんばれるだろうか。

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プロ野球がそろそろ佳境を迎えつつある。ぼくは実家が巨人ファンだったのと中学校の先輩に巨人の選手がいたこともあり、その流れを受けて巨人ファンなのであるが、ついにマジック1。1年間がんばった選手たちには、最後の有終の美を決めていただきたい。

プロ野球の選手は、個人事業主である。彼らは、野球界の頂点という栄誉とその巨額の対価の影で、自分の体のみを賭けた保証のない世界で生きている。つまりは、どんな選手であろうとも、ひとつのルールに従っているのである。「力なきもの」は存在できないということ。球団の保有できる選手は60人。毎年新人で入ってくる10人弱の選手と同じだけの人数が、力がないと判断されはじき出されていく。それは例え優勝チームでも同じ。これはぼくの思い込みに過ぎないのであるが、高校生でこの世界に入るひとは、このリアルな現実に全く気がつかないままなのではなかろうか。入ってから、その抜き差しならない現実に気づくのではなかろうか。
で、結論は自分に帰結するのだけれど、自分の置かれている立場も同じに感じるのである。もし、このまま研究者の世界に入るとして、自分の身一つで生きていかないければいけなくなる。野球選手と違って不慮の故障なんかはないけれど、実力がないものが迫害されるのは全く変わらない。自分にその覚悟があるのかと少し不安になった。

38日目。

2002年9月23日
今日の予定

・実験(PCR for construction sequencing)

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昨日は、16時過ぎに家に帰って、相撲を見て、野球をみてる途中で力尽きました。
正直、映画を見に行く気力と体力は残ってなかったようです。

1週間、自宅(横浜)を離れていると、季節は一気に秋めいていました。出発する前から半袖ではそろそろ寒いかなあという気温だったのだけれど、昨日などは、毛布なしで寝ることなどできない感がありました。
もちろん、秋だからといって、秋を感じるためのイベントや食べ物は皆無なのでしょう。そしていつの間にか、コートを羽織るようになって、季節が冬になったことを悟ることになるのでしょう。きっと。

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37日目。

2002年9月22日
今日の予定

・自宅へ帰る

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月曜日から実験に戻ろうと思うのです。そのため、今日が最後の休日。

映画を見に行きたい気もするが、行けるのか?
まあ、どうしても行きたいというレベルの作品はないので、敢えて行く必要もないのだけれど。

あ、あとカウンターが777でした。日記を書き始めて37日目なので、1日延べ20人以上のかたに見てもらっているわけですね。

感謝!

36日目。

2002年9月21日
今日の予定

・映画を見に行く

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映画を見に行くはずだったのだけど、一日寝て過ごしました。

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